大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)232 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人田畑喜与英の上告理由第一ないし第六点、同石黒武雄の上告理由第二、

四、五点について。

論旨は、原判決が、本件土地の東側四六坪につき上告人が被上告人に引続き賃貸

した事実は認められないとし、また原判示被上告人の行為をもつて被上告人が上告

人の所有権取得を承認したものということができないと認定したことを非難し、右

は事実誤認であり、採証法則違背であり、法律の解釈を誤つたものであると主張す

るが、所論のごとき原審の事実認定は、原判決挙示の証拠により肯認するに足り、

また、右事実関係に基き、被上告人が上告人の土地の所有権の取得を承認し、登記

欠缺主張の権利を放棄したものということはできないとした原審の判断も相当であ

る。論旨は採用のかぎりでない。

同田畑喜与英の上告理由第七点、同石黒武雄の上告理由第一点について。

論旨は、原審において上告人は、被上告人が本件土地の西側部分を不法占有して

いるから、これに対し登記なくして所有権取得を対抗しうると主張したのに、この

主張について原判決がなんら判断をしてないのは、判断遺脱である、と主張する。

しかし、原判決は、被上告人が本件土地の所有権を取得しその移転登記も経由し

た後は、名実共に本件土地の所有者であると認めている(反面、上告人は初めから

所有者でなくなつた)ので、所論主張の理由のないこというまでもないから、原審

が特にこれを排斥する旨明示しなくとも、判断遺脱の違法はなく、論旨は採用しえ

ない。

上告代理人田畑喜与英の上告理由第八点、同石黒武雄の上告理由第三点、同河野

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曄二の上告理由第一、二点について。

論旨は、被上告人の所有権取得および移転登記は信義則に反しないとの原判決の

判断を非難し、審理不尽、理由不備、法律誤解の違法があると主張する。

しかし、原審が、その挙示する証拠によつて認定した事実関係の下においては、

被上告人に、悪意に止らず害意があつたとは認められないと判断したのは肯認しう

る。代金支払が売買契約の数ケ月後である一事をもつては、右認定を左右するに足

らない。所論はすべて採用しえない。�

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 河 村 又 介

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

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